東北の旅

東北を旅する

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　　　　　　　　　　　　　　　　　東北の旅　３　

全６県、東北は全て旅しました。　どこが一番気に入っているということもないのですが、　　　　　気が付くと数多く旅するところが出てくるものです。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇　会津若松　◇ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　風の吹くまま気の向くまま、　東北の旅でいちばん数多く訪れたのは会津若松です。　　　旅の目的は幕末の動乱期、最後まで義に生きた武士、　　松平容保（かたもり）公に会いに行くためなのです。　　　美濃松平家の六男として生まれた容保公は、　　１２歳の時に会津藩主松平容敬（かたたか）の養子となります。　　　請われての養子縁組でしたので、　　将来への期待は大きいものがありました。　　　　　　　　　藩祖・保科正之以来の家訓である「徳川家への忠誠、皇室への尊崇」を徹底的に叩き込まれます。　　　　　　　　１８歳で藩主となり、２８歳の時、一橋慶喜（後の１５代将軍）に請われ、京都守護職を拝命します。　　　　　　　　このとき、再三にわたり固辞するのですが、慶喜に家訓を盾に取られ、止む無く受けたということです。　　　　　　　　　家臣からも猛反対されましたが、家訓を守るべく、京都を死地と覚悟を決めて乗り込みます。　　　　　　　　当時の京都では暗殺や乱暴狼藉が横行しており、無法地帯のような状態でした。　　　　　　　　それらを取り締まるために、新選組を誕生させます。　　　　　　　　　　　　　　　　　　当時の孝明天皇の、容保公への信頼は絶大なものがありました。　　　　　　　　　　　　　　　　　そんな孝明天皇の信頼を後ろ盾に、　　　　　　　　　　　　　　　　　禁裏の守護に容保公以下、会津藩士は粉骨砕身で働きます。　　　　　　　　　　　　　　　　　　ところが孝明天皇が死去したところから容保公の運命は暗転していきます。　　　　　　　　　　　　　　　　　特に鳥羽・伏見の戦い以降は、坂道を転がり落ちるようでした。　　　　　　　　　　　　　　　　　　忠誠を貫いてきた将軍慶喜には、江戸城への登城禁止を命ぜられ、　　　　　　　　　　　　　　　　　朝廷からも逆賊の汚名を着せられ、会津に追われていきます。　　　　　　　　　　　　　　　　　　自分が最も信じて忠誠を誓った人間、しかもそういう人間二人から、　　　　　　　　　　　　　　　　　同時に裏切られてしまったようなものです。　　　　　　　　　　官軍に追われる会津への道すがら、容保公は何を思ったのでしょう。　　　　　　　　また到底勝ち目のない戦の中で、　　　　　　　　天守閣から何を見ていたのでしょう。　　　　　　　　白虎隊の悲劇と重ねて考えると、涙を禁じ得ません。　　　　　　　　　そして鶴ヶ城にろう城すること１ヶ月、　　　　　　　　奮闘空しく容保公は降伏しました。　　　　　　　　その後幽閉されましたが、１８６９年に家名再興が認められます。　　　　　　　　　　　　　　　　　　晩年は日光東照宮の宮司となり、享年５８歳で死去しました。　　　　　　　　　　　　　　　　　容保公は結局、幕末維新については何ひとつとして語ることはしませんでした。　　　　　　　　　　　　　　　　　最後まで、「徳川家への忠誠、皇室への尊崇」を守り通したのでしょうか。　　　　　　　　　　　　　　　　　　きっと何かに触れることができるかもしれない･･･、　　　　　　　　　　　　　　　　　東北は会津若松に、容保公に会いに旅をします。