熊本

熊本を行く

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　　　　　　　　　　　　　　　　　熊本を行く

仕事の関係で、熊本には１ヶ月に２～３回は通っていました。　　休日に合わせて訪れて、　　近隣へ何度か小さな旅をしたのは内緒です(^_^;) 　　　熊本ではまず、日本三大名城のひとつ熊本城を訪れました。　　名将、加藤清正が７年の歳月をかけて築いた城です。　　　　加藤家二代のあとは細川家の居城として発展しました。　　細川護煕元首相の実家みたいなものです（苦笑）　　　西南戦争の際には、戦火に耐えた不落の熊本城が、　　その後、原因不明の出火で焼失したのはとても残念です。　　　現在のものは昭和３５年に再建されました。　　独特なカーブを持つ武者返しと呼ばれる石垣や、　　重要文化財の門や長塀など、　　巧妙かつ豪快な技術を見ることができます。　　　天守閣内は西南戦争や、加藤家、細川家の資料、　　遺品などがたくさん展示されているので、　　お宝鑑定団になったつもりで楽しみました。　　　　　　　また熊本城鎮守の神社として名高い藤崎八幡宮は、　　京都の石清水八幡宮をルーツとして、千年以上の歴史を持っており、　　緑と静けさの中、悠久の時を感じながら散策するには最高です。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ところで熊本は剣豪・宮本武蔵ゆかりの地でもあります。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１５８４年播磨国（兵庫県）に生まれた武蔵がなぜ熊本なのか。　　　　武蔵は１３歳で新当流の有馬喜兵衛に打ち勝って以来、　　六十余度の勝負をして一度も敗れなかったといいます。　　　その後さらに剣理を追及して兵法の深奥を極め、　　二天一流を創始し、その名声は天下に響き渡るに至りました。　　　　肥後藩主細川忠利はそんな武蔵の晩年、熊本に招きます。　　現在の熊本市千葉城町に居を構え、忠利の相談役を務めました。　　　忠利没後は失意のもと霊巌洞にこもり、　　自己の武道の集大成ともいえる「五輪書」を書き上げたのです。　　　　　　そんな宮本武蔵に触れるため、島田美術館を訪れました。　　吉川英治が小説「宮本武蔵」を書かなかったら、剣豪ではなく画家として有名になっていただろう、　　と言われる理由がここに展示されている水墨画で分かります。　　　　熊本は文豪・夏目漱石を始めとし、小泉八雲、徳富蘇峰・蘆花兄弟など、　　文人、作家が多くの足跡を残しています。　　　特に夏目漱石は「草枕」で、峠の茶屋公園を舞台にしたと言われています。　　ここを歩きながら漱石は「智に働けば角が立つ･･･」などと考えて、熊本在住５年間で、　　６回も引っ越したと思うと何だか苦笑いしてしまいます。　　　こんなリアルな感覚は北岡自然公園でも味わえます。　　訪れて初めて知ったのですが、阿部弥一右衛門の墓があるのです。　　森鴎外の「阿部一族」を読んでから行くと、楽しさが倍増しますよ。　　　それにしても熊本というのは、実に文学的価値が高い土地なのだと思います。　　その価値をさらに高めるために、また往時を偲ぶためにも、　　夏目漱石内坪井旧居や、小泉八雲の旧宅、徳富記念館を訪れてみてください。　　読書熱が一気に上がっていくこと間違いなしです（笑）　　　仕上げに熊本近代文学館を覗いてみました。熊本に由来する文学の全体像が見えてきます。　　失礼にも意外に思ってしまいましたが、熊本には文学が息づいているのですね。